母と私と乳がん

私がいざ結婚式を挙げようと色々準備していた十年前、母が乳がんと診断された。

 

一瞬、目の前が真っ暗に。

 

二か月後に控えている式を延期しなければならないのか、いや、それよりも母の容体は、がんの進行状態はどうなのか。

 

主治医から、がん自体は二ミリほどの小さな小さな腫瘍であること、転移も見当たらないため即手術を行えば完治の可能性が非常に高いこと、と説明を受けて、力が抜けた。

 

「この小ささで見つかったのは本当にラッキーですよ」と笑顔を見せてくれた主治医が「必ず全部摘出しますから、一緒に頑張りましょう。

 

乳房の形も崩れませんよ」、そう続けてくれた言葉にどれほど嬉しかったことか…。

 

果たして手術は無事に終わり、安堵して病室で号泣してしまった私を、母が苦笑して見ていたことをよく覚えている。

 

 

そして元気に退院した母は、私の結婚式に出席した。

 

あれから十年。

 

再発もなくぴんぴんしている母をよそに、今度は私が乳がん検診で引っかかった。

 

左乳房にやや大きめの丸い影。

 

マンモグラフィでもエコーでもその形ははっきり映し出されていた。

 

母の手術を執刀してくれた主治医は、現在私の主治医でもある。

 

その方から大きな病院を紹介され、戦々恐々と人生初のMRIを受けた。

 

じっとうつぶせのままひたすら丸い機械の中で息を顰めて三十分…こんなにも長く感じる三十分はなかなか体験出来ない。

 

やがて検査が終了し、結果が出るまで一週間。

 

不安で不安で、食事もあまり喉を通らないし夜もよく眠れない。

 

もし乳がんだったらどうしよう、母が乳がん患者だった場合の子の発生率は普通の人より数倍になると主治医が言っていたし、私も手術だろうか、手術が出来ないほど進行していたらどうしよう。

 

心配した主人は、仕事を休んで私と一緒に検査結果を聞きに行ってくれた。

 

結果は「乳がんじゃありませんでしたよ」…腰が抜けた。

 

良性の腫瘍だった。

 

眩暈がするほどの幸福感。

 

ぐったりと椅子に懐く私を見て、主人が浮かべた苦笑は、十年前の母のそれとよく似ていたような気がする。

 

主治医の先生曰く、どんな病気も一番の予防は免疫力とストレス耐性。

 

心穏やかに、毎日笑って楽しく生きること、これに勝る予防方法はない、と。

 

なるほど、今回のことで思い知った。

 

検査結果が出るまでの間、私は笑えなかった。

 

どんどん体調が悪くなるのを感じていたが、どうしようもなかった。

 

万が一乳がんだったとしても、もっとおおらかに笑って過ごすことが出来ていれば、心の持ち方が変わっていたのではないか。

 

これからはもっと笑って、楽しく生きていこう。

 

笑うと免疫力が高まるらしい。

 

「笑って過ごしても一日、泣いて過ごしても一日、怒って過ごしても一日。

 

同じ一日なら笑って暮らした方が何倍もマシ!」、乳がん騒動でバタバタしたけれど、私の病気予防方法はこれに尽きる!と決心して、今日もゲラゲラ笑って過ごしている。

 

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